とある日、S社の社員が旅行先で見つけたというAR(=拡張現実)が設定されているパンフレットを共有してくれました。
パンフレットでは観光地付近にある飲食店やお土産屋の様子を動画で見ることができ、社長は自社の発行する情報誌でもARが活用できそうだと直感しました。
社長はさっそくARについて話を聞くために問合せ、実際の制作環境を体験してみると、想像以上に簡単に制作ができたこと、そして紙媒体以外にも、動画やウェブサイトといった場所でも情報を伝えていける範囲が広がることに魅力を感じ、導入を検討しました。
S社の発行する折込情報誌では、ARマークの付いた記事や広告に専用アプリをかざすと、商品PR動画や、店長がおすすめ商品を紹介してくれる様子など、各社各店舗がそれぞれ趣向を凝らした映像を見ることができます。
すでにPR動画のデータを持っている企業は、動画の新しい公開場所として設定し、また掲載する動画のない店舗に関しては、動画は編集ができる社員が撮影から担当し、AR用の動画を制作しました。
ARを設定して発行した初回号では、紙面を割いてARの見方の説明を掲載したこともあり、社長が想像していた以上にアクセス数がありました。
AR付きの広告を掲載した店舗の中には、商品について問合せたいという連絡もあったとのことです。
クライアントに対して、3ヶ月以降のAR設定は有料という形をとっていますが、今ではAR付き広告は情報誌の看板企画となっており、継続的な発注につながり、単価アップに貢献しているとのことでした。
社長は地域の商工会議所に所属していることもあり、街おこし関連のイベントでもARのスタンプラリーを活用しています。
商工会で上がった議題の中に、「地域の若者向けの施策」があり、社長はここで機能拡充したばかりのARスタンプラリーが活用できないかと考え、提案をしました。
ARスタンプラリーはスマートフォンを使用するため、持っていない子どももいる可能性を考慮して、「家族で楽しんでもらうこと」をテーマにしています。
市内の各所に設定したマーカーにかざすと、ブラウザ上にスタンプが貯まっていく仕組みになっており、イベント期間中にスタンプを5個集めると、景品の応募フォームに登録ができるようになります。
スタンプ設置場所の中には、車で移動しなければならない距離のものもありましたが、ARのログ情報を見てみると、休日のアクセスがほとんどを占めており、このデータからスタンプラリーが家族で市内を回ってもらえるきっかけとなり、休日を楽しんでもらえたのではないか、と推測することができました。
今回のイベントでは、スタンプラリーへの参加方法や景品情報、マーカーの設置場所といった、企画のすべての情報が集約された専用アプリを制作しています。
はじめは商工会のウェブサイト上で情報を公開しようとしていましたが、商工会のサイトはほとんど更新しておらず流入数も多くありません。
そのため、デザインも自由に変更でき、より若年層に親しみのある「アプリ」を入り口に、イベント情報をすべて補完できるメディアを制作したという背景がありました。
今回はスタンプラリー企画のアプリとして活用しましたが、今後はアプリの中身をどんどん更新していき、この地域で開催されるイベント情報が集約されたアプリとして周知をしていきたいと話していました。
ラボのソリューション