業種:印刷会社X社
社長は電子ブックで付き合いのあった会社が定期訪問に来た際に、新サービスとして拡張現実を取り扱ったサービスを紹介されました。
詳しく話を聞いてみると、紙媒体では伝えきれない情報を、スマートフォン内で新しい形で見せられるとのことで、実際に見てみるとその動きに驚きを隠せませんでした。
電子ブックの際と同様に、誰でも簡単に作れるということもあり、さらに社長はかねてから考えていた出版物における新しい提案ができると感じ、導入を検討しました。
クライアントの出版社が新しく発売する、グルメに特化した観光ガイドブックでARを活用しています。
この本の中で紹介している店舗の写真にARアプリをかざすと、名物料理の調理の様子や店長からのメッセージが見られる仕掛けになっており、さらに工夫したこととしては、リンクを押すと店舗のマップが表示されるようにしました。
そのため、紙面内に記載していた店舗ごとの位置情報を少なくし、よりお店の紹介や料理の写真に紙面を活用できるようになりました。
マップをデジタル化したことで、今までかかっていた地図の作成の労力が減っただけでなく、紙媒体では店舗が移転しても更新ができず古い情報となっていた位置情報を、常に最新の店舗の場所を表示できるようになり、ユーザーにとってもスマートフォンでそのままお店の場所を調べられるようになり、利便性が上がったとの声もありました。
地図をウェブサイトへリンクする仕掛けを提案した際に、「QRコードでも十分ではないか」との声があがったものの、紹介している店舗の写真を使用するため紙面内のデザインを崩すことなく設定ができること、また単純にウェブサイトへ遷移させるだけでなく、まるで紙面が動き出すかのような仕掛けも同時におこなえることから、ARを活用することになりました。
また、とある人気絵本シリーズから派生した新シリーズの発売に際して、話題性と販促を目的としてARが活用されました。
仕掛けとしては、購入した絵本のカバーを取り外し、見開きの状態にすることでARマーカーとして認識されるように設定したことで、紙媒体の本を購入しないと見られない「特別特典」を演出しています。
見開いたカバーをARアプリでスキャンをすると、デフォルメした絵本のキャラクターと一緒に写真が撮れるだけでなく、ARを経由しなければサイトにアクセスできない購入者限定の応募キャンペーンのURLを設定しています。
こうした仕掛けに読者からも好評の反応があったことから、次に開催する絵本関連のイベントでもARを活用したいとの話をもらっており、どんな仕掛けを設定するか、計画を進めているところとのことでした。
社長は今は直接的にX社の利益につながっていなくても、こうした出版物での一歩踏み込んだ提案ができ、また活用してもらえるようになったことで、だんだんと派生して依頼をもらえるような関係性をつくれて行けたことが大きな収穫だと話しています。
そしてアイディア次第で新しい道は切り開けるとも考えており、今後も出版物にどんな工夫ができるかを想像することが楽しみだと話していました。
ラボのソリューション